コラム

『中小企業の経営承継承継の準備は早めにしよう』

中小企業では、経営者の高齢化が進んでいる一方、承継対策が不備で経営承継に失敗する例も多く見受けられます。

◆自社の現状はどうなっていますか?
承継に向けて準備を始める前に、自社の現状をきちんと把握しておく必要があります。
次の項目を確認しておきましょう。

(1)会社の経営資源の状況を確認しておく
①従業員の年齢や能力、企業風土
②製品・商品、技術、機械、設備等の状況、土地の評価
③キャッシュ・フロー、資金残高
④会社独自の情報と収集力、共有化の状況、独自能力

(2)会社のリスクを把握する
①金融機関や役員等からの借入状況
②退職金の支払いなどの潜在的債務の額
③保険の加入状況と適正額

(3)経営者の現状は確認する
①自社株の保有株数と評価
②土地、建物等の現状と評価、抵当権設定の状況
③その他の資産の額(時価設定)
④借入金などの額と返済予定
⑤個人保証の状況

(4)後継予定者の状況を確認する
①後継予定者本人の意思確認
②経験や能力、人柄、意欲、価値観等
③資産・負債、個人保証などの状況

(5)相続発生時に予想される問題点を把握し対策を検討する
①法定相続人の資産(特に自社株)・負債状況、人間関係の把握
②相続税額の試算と納税方法の確認
③遺産分割のシュミレーションと「争続」回避対策の検討

【一口メモ 「経営承継」ってなに?】
「経営承継」とは、今月(10月)施行された「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(中小企業経営承継円滑化法)の名称から来ています。事業承継と本来の意味は変わりませんが、中小企業の経営の継続的な成長発展の観点より、総合的・計画的に承継に取り組むことの必要性から経営承継とされていると思われます。
なお、中小企業経営承継円滑化法には、以下の3つのポイントがあります。

①一定の手続きを前提とした遺留分に関する民法の特例(平成21年3月1日施行)
②経営の円滑な承継のために必要な資金の融資制度
③非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度(創設予定)
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