コラム

『間違いやすい消費税の処理 』

下請業者に支払った外注費
下請けの建築業者に支払った外注費は課税仕入れでしょうか?
建設業では、一人親方などの個人事業主に工事の一部を依頼し、外注費を支払うことがあります。外注費は、課税仕入れとして仕入税額控除を受けることができます。
しかし、税務調査では、これを外注費ではなく給与と指摘されることがあります。給与は不課税取引ですから、給与と認定されると、仕入税額控除ができなくなるうえ、給与の源泉所得税の徴収漏れになります。そうなると、外注費は金額が大きいことが多いため、修正後の税額も大きくなってしまいます。
外注費か給与かは、それが請負契約か雇用契約かで判断されますが、請負契約の判断は、次のような要件をもとに総合的に行われます。

・下請業者(受注先)に当社以外にも発注元がある
・当社の指摘監督を受けていない
・当社から材料、用具を提供していない
(提供を受けているときはその対価を支払っている)
・下請業者が請負金額を計算している
・下請業者で使用人を雇っている

以上の目安はありますが、下請業者の仕事内容は様々ですから、実際には判断が難しいところです。ただ、請負であることをきちんと明示できるように、最低限、次のようなことは必要でしょう。

・請負契約書(業務委託契約書)を作成する
・請求書を発行してもらう
・領収書を受け取る(収入印紙を忘れない)

営業用の自動車を購入したとき
営業用自動車をローンで購入しました。ローンの割賦手数料は課税仕入れになりますが、また自動車の諸費用の課税、非課税について教えてください。
購入者が支払う割賦手数料(契約においてその額が明示されていること)は非課税取引とされ、課税仕入れにはなりません。
自動車の購入の場合には、取引のなかに課税取引となるもの、ならないものがあります。

【課税取引となるもの】
・車両本体、付属品
・各種費用(検査登録代行費用、車庫証明代行費用、下取車査定料、資金管理料金など)
【非課税取引となるもの】
・自賠責保険の保険料
・自動車諸税(自動車税、自動車取得税、自動車重量税)
・法定費用(検査登録、車庫証明、下取車登録)

自動車リサイクル法により新車購入時等に、リサイクル料金を預託しますが、預託時には、資産計上して不課税で処理し、廃車時等に費用化して課税仕入れとします。ただしリサイクル料金のうち、資金管理料金は、支払時に費用処理して課税仕入れとします。

工作機械のリース料
工作機械を3年リースで取得しました(リース料総額945,000円、毎月のリース料26,250円×36回)。リース料の消費税処理はどうなりますか?
原則的処理では、リース取引を売買取引とみなし、リース資産の譲渡として扱うため、リース料総額945,000円がリース初年度に全額課税仕入れになります(一括控除)。
しかし、リース取引について、中小企業には、売買取引ではなく賃貸借処理が認められていることから、賃貸借処理で行うケースが多くあります。
この場合は、毎月のリース料(26,250円)を支払うごとに、課税仕入れとすることが認められます(分割控除)。
リース料の消費税処理は、一括で仕入税額控除ができる原則的処理が有利といえますが、処理が煩雑になるうえ、リース資産を資産計上しなければならないことから、賃貸借処理を選択することが多いようです。

消費税の処理は、税務調査においてよく指摘されますので、不明な点は当事務所までお問い合わせください。
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