コラム

「間違えやすい消費税の実務 - 建物、備品などの売却・リースの処理」

不要となった資産を売却したり、機械、備品、車両等をリースで取得することがあります。そのような際にも、消費税がかかるのですが、その点を見落とす間違いがよくあります。

【 固定資産の売却にも消費税がかかる 】
自社の商品を販売したり、サービスを提供したときには、当然、消費税がかかりますが、販売目的ではない事業用資産等を売却した際にも、消費税がかかります。例えば、建物、機械設備、器具備品、車両等の有形固定資産やソフトウェア等の無形固定資産の売却などです。

●売却時に消費税がかかる(課税売上となる)
建物、機械設備、器具備品、車両等

●売却時に消費税がかからない(非課税売上となる)
土地、借地権、有価証


【 売却損益ではなく売却収入に消費税がかかる 】
固定資産を売却した際、法人税では、帳簿価額と売却代金(収入)との差額である売却損益が課税の対象となりますが、消費税では、売却代金(収入)に対して消費税がかかります。

 売却損益
 →法人税の課税対象
 売却代金(収入)
 →消費税の課税対象
 帳簿価額

設例1  機械装置(帳簿価額400万円)を315万円(税込)で売却したときの消費税の処理
この場合は、売却収入の315万円のうち消費税は15万円(315万円×5/105)になります。(減価償却の処理方法は直接法)。

(借方) (貸方)
現金 315万円
固定資産売却額 100万円
機械装置 400万円
仮受消費税等 15万円

設例2  機械装置(帳簿価額400万円)を525万円(税込)で売却したときの消費税の処理
この場合は、売却収入の525万円のうち消費税は25万円(525万円×5/105)になります。

(借方) (貸方)
現金 525万円
機械装置 400万円
固定資産売却益 100万円
仮受消費税等 25万円

【 固定資産をリースしたとき 】
最近、パソコン、コピー機などの事務機器や自動車などをリースによって取得する企業が増えています。リースによる場合、中小企業には、賃貸借処理が認められていることから、多くの企業が賃貸借取引で行っています。この場合、リース資産が、消費税の課税対象となる資産であれば、そのリース料に消費税がかかります。

設例4  5年リースで事務用機器を取得し、契約内容は、リース料総額126万円(税込)、毎月のリース料は21,000円(税込)×60回、会計処理は賃貸借処理で行うときの消費税の処理
この場合は、毎月のリース料に消費税がかかる分割控除か、リース初年度にリース料の総額に消費税がかかる一括控除かを選択することができます。一括控除は、リースした最初の年度に仮払消費税等60,000円の全額を仕入税額控除できるというメリットがあります。しかし、会計処理が煩雑であることから、分割控除を採用する企業が多いようです。

【分割控除の場合】
●毎月リース料支払い時
毎月のリース料の支払時に、消費税がかかります。

(借方) (貸方)
リース料 20000円
仮払消費税等 1000円
現金 21000円

【一括控除の場合】
●リース資産の取得時
リース料総額126万円のうち消費税は6万円(126万円×5/105)を一括計上します。

(借方) (貸方)
仮払消費税等 60000円 現金 60000円

●毎月リース料支払い時

(借方) (貸方)
リース料 20000円
未払金 1000円
現金 21000円

一括控除は、リースした最初の年度に仮払消費税等60000円の全額を仕入税額控除できるというメリットがあります。
しかし、会計処理が煩雑であるということから、分割控除を採用する企業が多いようです。
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