コラム

「年末調整-必要書類のここをチェック!」

年末調整事務は、1年に1回のことですので、間違いも起こりやすいようです。誤りなくスムーズに進めるためには、「扶養控除等(異動)申告書」「保険料控除申告書」の記入上の注意等を、社員によく説明し、正しく記入してもらう必要があります。

【 「扶養控除等(異動)申告書」の記入上の注意とよくある間違い 】

「扶養控除等(異動)申告書」には、配偶者、扶養親族の氏名、生年月日等を記入してもらいます。出産、子供の就職、結婚、離婚、親との同居などに伴う扶養親族の異動についての変更や記入漏れがないよう注意します。
「扶養控除等(異動)申告書」は、原則として、本年最初の給与を受ける日の前日までに会社が社員から入手しておかなければなりません。

◆よくある間違い!
①「所得の見積額」に、所得ではなく年収を記入してしまっている。
控除対象配偶者(妻)や扶養親族の「所得の見積額」欄に、所得ではなく年収を記入してしまっていることがよくあります。

所得とは、会社など雇用者から受けとる給料・賞与の総額(給与収入)から、給与所得控除を差し引いたものです。
年収が161万9,000円未満の場合、給与所得控除は65万円になるため、例えば配偶者のパート収入が103万円であれば、所得は38万円になります。
※年収103万円一給与所得控除65万円=所得38万円

②妻や子供のパート・アルバイト代(所得の見積額)に記入漏れや間違いがある。
子供が親にアルバイト収入の正しい金額を知らせていないために、本来は、扶養親族にならない子供が扶養親族になっているということがあります。
このような場合、後日、税務署から間違いを指摘され、源泉所得税の不足分が徴収されます。会社は、その従業員から不足分を徴収し、納めることになります。
また、就職した子供が扶養親族のままになっているという例もよくあります。

③同居老親等」の対象者が漏れている。
70歳以上の父母・祖父母(昭和16年1月1日以前に生まれた人)を扶養しているときは扶養控除の額が大きくなります。
さらに直系の父母・祖父母と同居しているときは、「同居老親等」となり、控除金額が変わります。
「同居老親等」に該当する場合は、「老人控除対象配偶者又は老人扶養親族」欄の「同居老親等」を「○」で囲みます。

※病気治療のため入院しているが、同居を常況としている(退院後は同居する)場合は「同居老親等」に概当します。

④老人ホームに入居している親を同居老親等にしてしまっている。
この場合は、「同居老親等」に該当しません。「老人控除対象配偶者又は老人扶養親族」欄の「その他」を「○」で囲みます。

⑤老人控除対象配偶者の記載が漏れている。
控除対象となる配偶者が70歳以上のときは、配偶者控除の金額が大きくなります。
この場合、「老人控除対象配偶者又は老人扶養親族」欄に「○」を入れます。

⑥本年中に亡くなった人を扶養親族からはずしてしまっている。
本年は扶養控除の対象になります。

⑦特定扶養親族の対象者が漏れている。
16歳以上23歳未満の人を扶養していれば、「特定扶養親族」欄に「○」を入れます。

⑧障害者控除の「内容」欄が書かれていない。
本人が障害者、あるいは障害者を扶養していれば控除の対象になります。「左記の内容」欄に、障害の状態、障害者手帳の種類、交付年月日、障害の等級などを記入します。

⑨寡婦・寡夫控除の記載が漏れている。
夫(妻)と死別、離婚し、その後も婚姻していない人、夫(妻)の生死が明らかでない人は、一定の条件(所得金額、扶養親族等)のもと寡婦控除(寡夫控除)を受けられる場合があります。

※寡婦の場合、特別寡婦の可能性もあります。

【「保険料控除申告書」の記入上の注意とよくある間違い】
生命保険、地震保険、社会保険などの保険料控除を受けるには、それぞれの保険料の控除証明書等を「保険料控除申告書」に添付します(コピーは不可)。
控除証明書等は、通常、10月下旬頃に保険会社等から郵送されてきます。もし紛失したときは、再発行をしてもらうようにしてください。

(1)生命保険料控除
一般の生命保険(死亡保険、介護保険、医療保険)、個人年金保険については、それぞれ一定額が控除されます(5万円が限度)。

◆よくある間違い!
①保険の種類(一般・年金)を混同している。
生命保険料控除証明書に記載された「保険の種類」で「一般」か「個人年金」かを確認します。保険の商品名が「○〇年金保険」となっていても、個人年金ではなく一般の生命保険であることがあります。

②生命保険料の控除金額が「証明書発行時に支払わねた金額」になってしまっている。
生命保険料控除証明書の「12月までに支払った場合の額」(保険会社によって、表現が少し異なります)を記載します。

③保険金の受取人、続柄を記入していない。
親族等が契約した生命保険であっても、本人が保険料を負担している場合は、控除の対象となります(本人または配偶者や親族が保険金の受取人になっているものに限ります)。

(2)地震保険料控除
地震保険が付いている火災保険に加入している場合、支払った保険料のうち地震保険料部分について一定額を控除することができます(5万円が限度)。
損害保険会社等から「地震保険料控除証明書」が郵送されてきます。

※平成18年12月31日までに契約した長期損害保険の保険料については経過措置による控除があります。

必要書類…地震保険料控除証明書(損害保険会社等が発行)
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