コラム

「消費者の不便・不満解消がヒットの秘訣」

「物が売れない時代」といわれる中でも、数々のヒット商品が生まれています。
ヒット商品には、独創的なアイデアや新しい機能・価値を加えたなどの特徴があります。
そのような中から、それまでの商品等に消費者が感じていた不便・不満、イライラを解消したことでヒットにつながった例を集めてみました。

▼不満 ― 納豆のたれで手や食卓が汚れる
⇒手や食卓を汚さないパック入り納豆

納豆を食べるとき、フィルムやたれで手や食卓、衣服を汚してしまった経験のある人も多いのではないでしょうか。
パック入りの納豆「金のつぶ あらっ便利!」(㈱ミツカン)は、たれを箸でつまめるゼリー状にすることと、容器を工夫して乾燥防止用フィルムもなくすことで、手や食卓が汚れないようにしました。
たれの小袋とフィルムに感じている消費者の不満を解消したことが支持され、2008年の発売から2か月で6000万食を売り上げました。

▼不満 ― 味噌を溶くのが面倒くさい
⇒味噌を液体化した「液みそ」

日本の伝統的な調味料である味噌は、家庭によって味や好みが異なることから、もともとヒット商品が生まれにくいものでした。
しかし、味噌を液体化した「液みそ」(マルコメ㈱)は、一昨年の発売から20か月で500万本を超えるヒットとなりました。
従来の味噌には「溶け残る」「分量を量りづらい」「濃さの調節が面倒」「最後まできれいに使い切れない」「朝の忙しい時に、手軽にできない」といった消費者の不満が多くあったといいます。「味噌を溶く」ことは、当たり前のように考えがちですが、消費者はそれを面倒と感じていたのです。
「液みそ」は、溶け残りもなく、分量も量りやすく、従来は2分かかっていた味噌を溶く時間が10秒になるという手軽さが、消費者に受け入れられました。

▼不満 ― パソコンが重くて、使わない機能が多い
⇒文字入力に特化したデジタルメモ

パソコンには、メール、インターネット、ワープロや、音楽や映像の記録・鑑賞など様々な機能があり、大変便利です。
しかし、出先などで「ただ文字だけを打ちたい」という人は、起動が遅い、重たい、バッテリー寿命が短いといったノートパソコンに、イライラしていたようです。
「メールもスケジュールも、インターネットもいらない、ただ文字が打てればいい」という人をターゲットにしたのがデジタルメモ「ポメラ」(㈱キングジム)です。
「ポメラ」には、メールやインターネット、ゲームなどの機能がまったくありません。
しかし、重さは約370gで、折り畳むと手の平に載るサイズ、起動は2秒、単4電池2本で約20時間駆動といった機能が、消費者に受けて、2009年の販売計画年間3万台を上回る10万台を売り上げました。

▼不満 ― 洗濯の時間と水がもったい
⇒コンパクト・節水・節電・時短を可能にした洗剤

衣料用洗剤に対する消費者の不満で多いのは、「洗剤が重くて買い物が大変」「2回のすすぎ洗いでは、水がもったいないし、洗濯に時間がかかる」だそうです。
そこで、「コンパクト・節水・節電・時短」をキーワードに生まれた洗剤が「アタックNeo」(花王㈱)です。
従来の液体衣料洗剤が「重さ1㎏で25回の洗濯」だったものを、「500mlペットボトルサイズ、重さ400gで25回洗濯」までコンパクト化し、通常2回必要とされるすすぎ洗いを1回で済むようにしたことで、節水、節電、時短がはかれるのです。「アタックNeo」は発売1か月で1000万本を出荷するヒットとなりました。

▼不満 ― ラーメンと一緒に頼んだ餃子が遅い
⇒ラーメンとほぼ同時に出す早出し餃子

東京、埼玉、千葉、神奈川を中心に大衆ラーメン店を展開する日高屋では、以前、「早出し餃子」が話題になりました。これは、餃子を焼く機械を改良し、焼き時間を6分から1分半に短縮することでもう一つの定番であるラーメン(ゆで時間1分半)と同じタイミングでお客さんに出せるようにしたのです。
これは、同社の社員が、ラーメンと餃子を頼んだお客さんが、イライラしながら餃子の出来上がりを待っている姿に気づいたことがきっかけです。ラーメンと餃子を作る時間を同じにすることで、お客さんのイライラを解消し、餃子の売り上げを10%以上伸ばしました。
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