コラム

「就業規則が大事な3つの理由」

就業規則を作成していますか?作成していても、市販のサンプル規程をそのまま使っていて、自社の実情とあっていないものも見受けられます。そもそも就業規則を作成する意味はどこにあるにでしょうか?

就業規則とは?
就業規則は、会社の賃金、労働時間、休日、休暇、服務規則など会社の業務にかかわる規則やルールを書面化したものです。

●おおまかな就業規則の体系
 就業規則
 └就業規則本則
 └賃金規程
 └育児介護休業規程
 └出張旅費規程
 └慶弔見舞金規程など


※基本的には、わかりやすいように一規程ずつ作成することが望ましいのですが、全て一緒に記載している会社もあります。

就業規則の3要素とは?
なぜ就業規則を作成しなければならないのでしょうか。また、なぜ重要なのでしょうか。
それは、就業規則には、次の3つの要素があるからです。
●就業規則の3要素
①会社の基準の明確化
②会社と社員との信頼関係の構築
③法令による作成義務


①会社の基準の明確化
就業規則とは、会社と社員の間のお互いのルールを確認するものです。
労働時間(始業・終業)、定年、賃金、休暇、服務、交通費、出張旅費などについて
会社のルールを明確にして、全社員にわかりやすく伝えることは、
業務の効率化にもつながります。就業規則を実情に合わせて見直して、
残業時間を削減した次のような例があります。

【事例1】
勤務時間の変更で残業時間を削減

A社の始業時刻は8時30分です。部門は、販売と事務(総務、経理)に分かれています。
販売社員の場合、開店時間の10時までは、手持ち無沙汰でダラダラとしがちで、
残業時間も増えていました。
そこで、社長は、外部の専門家と相談の上、社員と話し合って、販売部門の始業時刻を1時間ずらして9時30分始業としました。
さらに、残業を許可制として、残業(休日労働含む)をする場合は、残業内容と時間を上司に事前に申告させて、許可を得ることを義務づけました。
事務部門については、始業時刻から電話が鳴り始めるため、
これまでどおりの勤務時間としました。
業務の実情に合った就業時間にすることで、販売部門は一人平均20時間の残業時間の削減ができました。
例えば、飲食業・コンビニ・ホテル業の場合、シフト制にして基準となる労働時間をしっかりと就業規則に記載しておけば、上記事例のように、効率化をはかることも可能です。会社の実態に合わせて設定していきましょう。

②会社と社員との信頼関係の構築
「うちでは、お互いがツーカーだから、信頼関係はできているんだ!」という社長がいらっしゃいますが、「本当ですか?」
例えば、慶弔見舞金などでも、「○○は頑張っているから3万円」「△△はダメだから5千円」など社長のさじ加減で決めていては、社員からの不信を招いてしまいます。
実際に、そのような例が少なくありません。慶弔見舞金などは、「誰に、どんなときに、いくら」支払われるかを明確にしておく必要があるでしょう。

【事例2】
業規則説明会で社長が熱弁

B社(東京都)は、従業員が10人に満たない会社ですが、就業規則を作成し、
冒頭には、会社の経営理念も書かれています。
同社では、「就業時規則説明会」を開いて、社長自らが就業規則の重要性について熱弁し、社員とも議論しました。就業規則は、全社員に配付しています。
このような取り組みで、B社では信頼関係の構築、社員に経営参画意識を持ってもらうことに努めています。
会社と社員間で合意した部分を就業規則に盛り込む場合には、
あまりにも社員に有利な条件を定めることには注意が必要です。
情勢が変化したため、一度、引き上げた労働条件を引き下げたいとなったときに、「労働条件の不利益変更」となって、簡単には引下げられない場合があります。

③法令で作成義務がある
常時10人以上の従業員を使用する会社は、就業規則を作成し、
行政官庁に届け出ることが義務づけられています。
「常時10人以上」とは、社員のほかパート・アルバイトも全て含みます。
違反した場合には、30万円以下の罰金に処せられます。
また、就業規則を作成する際、市販の書籍やインターネット等に掲載された規程例をそのままに近い形で使用している会社も見受けられます。
しかし、そのような規程例には、自社にとっての必要事項が漏れていたり、社員にとっての優遇規程が多く含まれているなど、そのまま利用することには問題があります。
例えば、社員と個別に結んだ雇用契約書を上回る労働条件が就業規則のほうに記載されていると、そちらが適用されるため、後々問題となります。
インターネット等の情報は、あくまで参考程度に止めて、自社の実情に合ったものを作り直すようにしてください。
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